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raskiのマジックとミステリの部屋

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魔法の息

ーー現象ーー

 客は、デックをシャフルする。そしてそこから1枚選び覚える。そのカードはデックに戻され、演者によってシャフルされる。 
 客は好きな数を言う。客は7といったとしよう。演者は、「7枚目のカードが、あなたの選んだカードです」という。そのカードを見てみるが、演者の言ったことは真実にはならない。
 再びカードを戻し、演者はシャフルを行う。演者は、「カードを当てるには、あなたの協力が必要です」という。「どうぞ、息を吹きかけてください」と。演者はデックを客のほうに差し出す。客は息をかける。
 「これで大丈夫です。それではあなたの言った7枚目のカードを見てみましょう」演者はそういい、6枚カードを配る。7枚目のカードを見ると、それはまさに選ばれたカードである。
 「どうやったのですか」「あなたが息をかけてくれたからできたのです」
ーーコメントーー

 小品奇術です。大きな驚きを与える、というタイプではありませんが、怪しげな動作がないので、スマートな手品です。カードを混ぜているし、1回失敗しているので、カードをコントロールする余地はないように見えます。
ちょっとしたときに演じるにはまことによいと思います。
 どうして息をかけるという演出なのかはよくわかりません。息によって、カードが特定の場所に吹き飛ぶというイメージでしょうか?あるいは、観客とのやり取りを考慮してのことでしょうか?息であることに、絶対的な必然性があるとも思えませんが、タイトルになっているくらいですから深い意味があるのかもしれません。
 オリジナルのおまじない、ジェスチャーなどを使ってももちろんいいでしょう。
ちなみに、数字ではなく、名前を言ってもらい、その文字数を利用するという方法が『カードマジック事典』で紹介されていた気がします。
ーー参考書ーー

『Encycropedia of card tricks 』ed Jean Hugard
訳すと、『カードマジック事典』と区別がつきません。とても簡潔に説明されています。
『Hugard's magic manual』Jean Hugard
上記のものよりは丁寧に解説されています。
『カードマジック事典』高木重朗
 「クラブの3と2分の1」という奇妙なタイトルのマジックを紹介していますが、「魔法の息」と主要原理は同じです。数字ではなく名前の文字数を使います。名前は、だいたい文字数が一定なのでそこは工夫が必要です。
 意外な落ちがあります。ちなみに、ファルヴスの『セルフワーキング・カードトリック』にまったく同じトリックの解説があります。ほかにも事典との重なり結構あり。



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